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栽培こよみ 第54回

 
 カキドウシ シソ科
 
道端に生えていたカキドウシ
道端に生えていたカキドウシ
 今年も信州の山草会から春の山草展
の案内状をいただいたので、さっそく
車を走らせた。当日は展示会の初日で
もあって、会場は朝早くから多くの人
で賑わっていた。
 会場に入ると、ずらりと何列にも展
示物が並んでいて、鉢の前で立ち止ま
ってじっと見入る人あり、また、ある
ところでは数人が寄り集まって山草談
義に花を咲かせていた。
 
 展示会の名は山草展ではあるが、展示の植物を見るとトリカブト、カキドウシ、
ヤマシャクヤク、チクセツニンジン、
展示会場で見たカキドウシ
 展示会場で見たカキドウシ
ウマノスズクサ、オウレン、ドクダミ、
ユキモチソウ等々、その多くが薬草で
あることに気が付いた。まるで薬草展
なのである。
 
 さて、展示してある鉢の中で数点、
えっ!こんなつくり方があったのか
と驚くものがあったので紹介してお
こう。
園芸店で見たカキドウシ
園芸店で見たカキドウシ
 その1つがカキドウシである。この
植物は春から夏にかけて、四方へツル
を伸ばして、緑の絨毯のように広がる。
広辞苑にも、垣根などの狭い隙間に入
り込むのでこの名がある、とあるよう
に、隣へ垣根を越えて繁茂しているこ
とがある。その名の由来もそこから来
ているらしい。ところが展示会では小
さな鉢植えにして、しかも花を咲かせ
ていたのである。
動物のようにも見える花
動物のようにも見える花
 カキドウシは郊外に出れば、道端や
山野でよく見る植物である。
 カキドウシをよく観察すると、葉が
付いている節の部分から根を伸ばし
してどんどん広がって行く様子が分か
る。だから栽培は、根の付いた1部分
を掘り取って植えておけばよい。庭植
えにしてあるが、2,3年も経てば増え
て増えてその後始末に困るほどである。
園芸店では学名のグレコマという名で、斑入りの種類が売られている。
 
 鉢植えにするには、まず適当な大きさの浅い鉢を用意する。培養土は畑土で
も市販の園芸培養土でも、手に入るものでよい。
 置き場所は木の下などのような木漏れ日の射すところが良い。
 カキドウシの花は、今頃、動物のようにも思えるかわいい花を咲かせるから、
薬局の飾りにも使える。鉢づくりにして楽しむのもおもしろい。
 

(2012年6月1日)