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栽培こよみ 第56回

 
 コールラビー アブラナ科
 
 近頃、八百屋やスーパーマーケットの野菜売り場に見慣れない野菜が登場す
ることがある。コールラビーもその一つであろう。別名、球茎甘藍とか蕪甘藍
とも呼ばれているが、甘藍とはキャベツのことであるから、茎が球状のキャベ
ツ、あるいは蕪のようなキャベツという意味である。
 姿はカブに似ているがキャベツの仲間で、アメリカの試験場の研究によると、
キャベツとナタネの雑種から選別されて出来たものらしい。
 明治16年発行の舶来穀菜要覧にカブラハボタンの名で出ているから、わが国
には明治初期に導入されていたが普及しなかった野菜である。
 ところが最近になって一部の地方で
栽培されるようになり、輸入されたも
発芽したばかりの苗
 発芽したばかりの苗
のもあって、まだわずかであるが市場
に出回るようになってきた。
 
 鉢植えでコールラビーを栽培するよ
うになったきっかけは、園芸店で鉢花
の中に混じってコールラビーの鉢植え
を売っているのを見たからである。
 その時はなんだか見慣れない花があ
るものだと、近づいて見るとコールラ
ビーであった。
 株全体が紫色のもの、また、緑色のものがあって、おもしろい姿からこれは観
賞用にもなると思った。おまけに出来たものは野菜として食べられるからあり
がたい。
株が紫色の種で、緑色の品種もある
 株が紫色の種で、緑色の品種もある
 
 コールラビーの種子は大きな園芸店
や種苗会社の通信販売のカタログにも
掲載されているから、そこから買うこ
とができる。
 栽培は周年できるらしいが、品種に
よっては、秋まきは抽苔しやすく、即
ち、早く花が咲いてしまうのがあるよ
うだ。
 種子の入った絵袋に栽培方法が詳し
く書かれているから、買うときに確認してほしい。
 
 用いる培養土は市販の園芸培養土、あるいは畑土でもよい。小さなポットや
セルトレイに3粒ほど蒔いて育苗する。1週間もすると発芽するから元気な株を
1株残して間引く。本葉が5枚ほど出たら4〜5号の大きな鉢に植え替える。も
もちろん直播してもよい。
 葉が伸び始めたころに化成肥料を鉢の隅に一つまみほど与え、また薄い液肥
をときどき与えるとよい。茎が肥大を始めたころにも追肥する。
 高温と乾燥を嫌うから暑い時期は日陰に置いて、灌水を忘れないようにする。
 害虫はアブラムシ、アオムシが付きやすいが、見つけたら早めに殺虫剤で防
除する。
 
 畑で栽培するには植える前に堆肥などを鋤き込んでよく耕しておく。育苗し
た苗を株間15〜20?で植えて行く。活着すれば追肥して株を成長させる。また、
茎が肥大し始めた時にも追肥をする。
 
 播種後50〜60日で茎が5〜9?に肥大すれば収穫するが、大きくなり過ぎる
と硬くなる。皮を剥き、薄切りにしてサラダとして生で食べられるが、煮物や
漬物にも利用できる。
 食品成分表を見るとビタミンCやカリウム、カルシウムが多く含まれていた。

(2012年8月1日)