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栽培こよみ 第17回

 
 吊りシノブで涼しさを呼ぶ
 
 子供のころ、夏の夜は道端に床机を出してウチワ
シノブ玉の風鈴
で扇ぎながら将棋を指したり、線香花火を楽しんだ
ものです。軒先につるしたシノブ玉の風鈴の音が、
涼しさを運んでくれます。今、そんな面影はどこに
もありませんが、シノブ玉を見ると当時を懐かしく
思い出すのです。
 
シノブは落葉性のシダで、山地の岩や樹に付着し
ています。しかし、最近は園芸店で見ることが少な
くなりました。代わりに中国南部原産のトキワシノ
ブはよく売られています。この方が一年中葉をつけていて、作ってすぐにきれ
いな吊り玉になりますから、これを使ってシノブ玉を作りましょう。
 
トキワシノブ
 
 用意するものはトキワシノブの鉢植え、木綿糸、
細い針金、ミズゴケ、木炭などです。
まずトキワシノブの鉢植えは培養土を全部取り
除いておきます。
 
 
トキワシノブの株
 ミズゴケは水に浸けて十分に水を吸わせておきます。
しっかり絞ったミズゴケで木炭を巻いて行きますが、
トキワシノブの株の大きさに応じてミズゴケの量を
調整します。
シノブの根茎で丸い球の三分の一から半分ぐらいが
隠れる大きさが適当です。
 
トキワシノブ 固定
 
 きれいに形を整えてから、木綿糸でミズゴケを巻いて固定します。
その上に被せるようにトキワシノブを置いて、糸で動かないように
固定します。
 
 針金でU字型のピンをつくって根茎を止める方法も簡単です。
 
 日常の管理は半日陰に置き、乾いたらたっぷり水をかけます。
水を入れたバケツに全体を浸けてもよいでしょう。肥料は
あまり必要ありませんが、時々薄い液肥を与えるのもよい
でしょう。お好みで風鈴を吊るします。
 
 丸い玉以外にも船形や円錐、三角錐の形にしても面白いものができます。
水を少し入れたお皿に置いて、水盤づくりで薬局の飾りに使っても涼しさを感じます。
 

(2009年8月1日)