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栽培こよみ 第18回

 
 ヒガンバナ  Lycoris radiata Herb.
 
 土手が工事で削られて、そばに黒褐色の丸い球が一つ転がっているのを見つ
けた。近づいて見ると、それはヒガンバナの球根であることが分かった。削ら
れたあたりを探してみると、在るわ在るわ、球根が隙間もなくびっしりと並ん
でいた。
 これでヒガンバナが、田んぼの畦や土手などで群落をつくって咲いている理
由が分かった。
 
 
ヒガンバナ
 ヒガンバナは秋の彼岸のころに花茎を伸ばし、
その先に鮮赤色の花を数個つける。葉は花の咲
き終わった後から伸ばし始める。
 球根にはリコリンなどの毒を含み、昔は殺虫
や殺鼠剤に用いた。また、毒成分は水に溶解す
るために、球根をすりおろして何度も水にさら
して毒を除き、澱粉を救荒時の食用にしたらしい。
 
 見つけた球根は根も葉もなくまだ休眠していて、これから根を出し始めるよ
うであったから、転がっていた球根を数個持ち帰り植木鉢へ植えて見ることに
した。
 花は野外で見るように群れにしたいから、鉢はたくさんの球を並べて植えら
れる大きさの8号鉢とした。培養土は選ばないが排水良く植えることが大切で、
今回は市販の園芸培養土を用いて球根の高さと同じほどの覆土をした。
 鉢はよく日の当たるところにおいて十分に水をやる。そして花後は窒素より
もリン酸やカリの多い肥料を与えるとよい。葉のある間は適当な日照と水分が
必要で、休眠期は乾燥気味に育てる。
 
 
ヒガンバナ
 しかし植え付け作業は球根が芽を出すまでで、
下旬から来月になると所によっては花茎を伸ば
し、花が開花している地方があるかと思う。球根
の植え付けは、根も葉もない休眠中が良い。
 
 ヒガンバナは死人花などと言われてあまり栽培
されなかったが、最近は八重咲きや色変わりのような変種が園芸カタログに載
っている。
 

(2009年9月1日)