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栽培こよみ 第37回

 
 オオナルコユリ ユリ科
 
 園芸店で春に植える種を探していたら売り場で珍しいものを見つけました。
オオナルコユリです。とりあえず2袋を買って帰りました。
 袋を開けると中にはおが粉のような木のくずの中
オオナルコユリ
に大きな根茎が一本入っていました。カラー印刷され
たきれいな説明書がついていますから、市場にはかな
りたくさん流通していたのでしょう。
 袋には早春の美味、山のアスパラとも書いてあって、
山菜として多量に栽培されているようです。
 
 山では林の下などにナルコユリが生えているのを
見ることがあります。春のころ白い筒状の花が下向き
山で見たオオナルコユリ
    山で見たオオナルコユリ
に並んでつきます。ナルコユリの名の
鳴子とは、今では見ることもほとんど
ありませんが田畑を荒らす鳥などを
追い払うために板に細い竹筒を並べ
て掛けたもので、遠くから紐を引いて音
を立てる道具です。ナルコユリの花が並
んで垂れるように咲くところを鳴子に譬
えた名です。
 
 オオナルコユリはナルコユリより大型で高さ1m以上、中には人の背丈ほど
もある大きなものを見たことがあります。春に出る新芽はアスパラガスのよう
に太く、おいしいので山菜として人気があります。
 
 栽培方法は鉢植え、庭植えどちらでも可能ですが、庭に植えるときは夏の暑
い陽を避けるような木陰になる場所が適当です。
 鉢植えは根茎が横に伸びますからやや大きめの鉢、6〜8号の駄温鉢などが
良いでしょう。
 用土は市販の園芸培養土か、日向、赤玉、鹿沼土の等量を混合した土に腐葉
土を1割ほど加えます。この混合した土を5〜6ミリ目のふるいで大粒と小粒 
の2種類に分けておきますと使うときに便利です。
 
 まず、鉢穴にネットを置き、大粒の培養
オオナルコユリの根茎
  オオナルコユリの根茎
土を4分の一ほど入れておきます。さらに
小粒の培養土を鉢の半分程度まで入れ、そ
こに根茎を置きます。根茎は芽の出る方を
鉢の中心に来るように位置を調節します。
 その上に小粒の培養土を鉢の縁まで加え
てから、鉢底をトントンと下に軽く打ち付
けて用土を落ち着かせると表面が下がり
ウオータースペースができてちょうどよい
位置に収まります。
 十分に水を与えてから軒下などに置き、暖かくなるまでは冬の寒さから保護
するのが良いでしょう。
 肥料は春と秋のころに、油粕や緩効性化成肥料を少量与えておきます。
 根茎が生長して芽の出る位置が鉢の縁まで達したときは、株分けを兼ねて植
え替えます。根茎が枝分かれしたところを切り離すと簡単に分けられます。
 
 オオナルコユリは山菜としての人気が高く、春に出る新芽を茹でて水で晒し、
お浸しや汁の実として使います。根茎も同様にして食べられますが、よく水に
晒して食べないとえぐみが残ることがあります。

(2011年2月1日)