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栽培こよみ 第55回

 
 ツバキ ツバキ科
 
 ツバキの学名はカメリア ジャポニカと言う。ジャポニカとは日本のことで、
ツバキ
 
 日本原産の植物であるから丈夫で
作り易い。
 ツバキの花が好きで100種ほどを鉢
植えにしたり、庭に植えて楽しんでい
る。ツバキは品種を組み合わせること
で、花の咲く時期が10月頃から3月頃
までと、半年もの間つぎつぎと咲いてく
れるから楽しめる期間も長い。おまけ
に花の少ない冬の間だから楽しみも
尚更である。
 
 今はもうツバキの花の季節は終わっているが、挿し木は今頃が最適なので、
今月はツバキの挿し木をしておこう。
 準備するものは5号の駄温鉢、鉢は浅い鉢が良い。培養土は赤玉土か鹿沼土の
小粒、それに挿し木の発根剤。この発根剤は園芸店やホームセンターの園芸売
挿し穂を調整する挿し穂を調整する
 り場で粉末の小瓶入りが売っている。
 
 挿し穂の調整は、今年伸びた新梢を
10センチほどの長さに切り、先の葉3
枚ほどを残して残りの葉を取り除く。そ
して数時間、切口を水に浸けておく。
 大きな葉は半分ぐらいに切り取って
おいてもよい。
 
 
 
 挿し穂の準備ができたら、まず鉢穴に鉢底ネットを置いて培養土を鉢の縁ま
で入れる。トントンと軽く鉢底を下に打ち付けて培養土を落ち着かせると、鉢
の縁から表面が少し下ってちょうど良い状態になる。そして植える前にジョロ
で水をやり、培養土を湿らせておく。
 次に挿し木をする前に切り口へ発根剤をつけておくのだが、挿し穂の切り口
が水にぬれた状態で発根剤をつけるとよくつく。挿す時にも先に爪楊枝のよう
な細いもので培養土の挿す位置に穴をあけて置いてから、さし穂を穴に挿すと
発根剤が落ち難いから都合がよい。
 
活着して1年後には大きく成長している
活着して1年後には大きく成長している
 こうして植え終えた鉢は日陰に置い
て管理する。培養土が乾くと土の表面
の色が変わるから水を与える。あまり
よく乾くときはビニールで挿し穂を覆
うように空間をつくって鉢を覆ってや
るとよい。この方が乾き難いので水や
りも少なくて済む。しかし、中が高温
になり過ぎないように注意する。
 
 
 1か月もすると発根してくるから、9月頃になればときどき薄い液肥を与える。
また、春までこの状態のまま置いてもよいが、2〜3号の大きさのビニールポッ
トに1本ずつ新しい培養土で植え替えてもよい。うまく発根していれば、込み
合った状態で置くよりも、早く1本植えの状態に分けた方が大きくなるのは早
いだろう。
 
 挿し木に慣れてくれば、ツバキは葉ざしも出来るし、また、30?ほどの大き
な挿し穂を挿すこともできる。この方が花の咲くのが早い。
葉ざし用の挿し穂
葉ざし用の挿し穂
大きな挿し穂
大きな挿し穂
 
 こうしてツバキの挿し木は比較的容易にできるが、品種によってはやや難し
いのもあるようだから、いろいろ試してみると面白い。
 ツバキの種には多量の油が含まれていて、搾って椿油として利用される。

(2012年7月1日)