エビネ ラン科 |
毎年、5月の連休が始まると忙しくなる。その理由は各地の植物園などで開催 |
されている山野草展を見て回るのを楽しみにしているからである。山野草の中 |
には薬草になるものがたくさんあって、その栽培方法などに工夫されているも |
のがあり、参考になることが多い。 | 庭に植えたエビネ |
エビネは日本の山野にたくさん見ら | |
れたラン科植物である。しかし最近は山 | |
ではめったに見ることは無い。ところが | |
人工交配によって、今まで山にはなかっ | |
た新品種が続々と誕生して、山野草展を | |
賑わしている。 | |
ラン科植物は、たくさんの種子ができ | |
ても、自然界ではラン菌の助けがないと |
発芽も生長もできない。ところがラン菌が無くても生長させることが出来る無菌 |
播種という方法が普及したから、新品種の花をいくらでも作れるようになった。 |
エビネはもともと日本の植物であるから、洋ランのように温度がいらないし、 |
ランの中でも作りやすいから人気の花である。庭へ植えても、鉢で栽培しても |
きれいな花を楽しむことが出来る。 |
山野では谷筋などで、雑木や杉林のような木の下に自生している。そこは近く |
に小川が流れていて、比較的空中湿度の高い環境を好むようである。したがっ |
て、庭植えにすると | ||
きは木漏れ日の射す | ||
ようなところへ植え | ||
ると、何ら手入れす | ||
ることもなく、毎年、 | ||
花を咲かせてくれる。 | ||
鉢植えでも、花の | ||
時期は玄関などの室 | ||
内に置いて楽しんで | ||
いるが、花が終われ | ||
ば日陰に移動して栽 |
培するとよくできる。 |
さて、植え替えなどの作業は、花が咲き終わった今頃が一番良い。エビネは |
これから根を伸ばして生育期に入るからである。 |
植木鉢は4〜5号のプラ鉢で良いが、室内に持ち込んで花を観賞するには丹波 |
鉢などに植えるとよく似合う。培養土は赤玉土、鹿沼土、日向土を等量混合し |
た土に、腐葉土や堆肥を1割ほど加えて用いている。 |
まず鉢底へネットを入れてから、鉢の半分程度まで培養土を入れる。一方、 |
植え替え時期が来た鉢植え、新芽が鉢の縁まで成長して植え替えをする鉢植え、 |
株が込み合って株分けをしたい鉢植えなどから株を取り出す。 |
取り出したエビネの根茎はバルブと言い、丸い球が一列に長く連なっている。 |
この様子を海老に見立てて海老根の名がついたようである。 |
株分けをしたいときは、新芽を含めてバルブが3球以上になるように分ける。 |
小さく分けると、株数は増えるが翌年に花が咲き難くなる。 |
植え替え終えたエビネ | 枯れた葉や根など整理して、鉢の中に |
配置してみる。今年新芽が出るのは花が | |
咲き終えたバルブから出るから、新芽が | |
出た時に鉢の中心へ出るような位置へ | |
配置する。さらに培養土を加えて行き、 | |
バルブの上部が少し見える程度にする。 | |
十分に水を与えてから、発酵油粕のよ | |
うな緩効性肥料を数個鉢の隅に置いて、 | |
日陰で管理する。肥料は春と秋にも与え | |
ると花が良く咲き、株もよく増える。 |
庭に植えるときは、木漏れ日が当たるようなところを選ぶ。家の北側の日陰 |
地でもよく育つ。植える前に堆肥を入れてよく耕して置き、バルブの表面が土 |
から少し見える程度に土をかけておく。 |
中国の薬草図鑑には、民間薬として使われているエビネの種類があるようだ。 |
最近、日本でも育毛剤にエビネの成分が入っていると書いた広告を見た。 |
(2013年5月1日) |