ツリガネニンジン |
ツリガネニンジンは、花が釣鐘の形をして、根が人参のようなところから付 |
けられた名です。自生地は北海道から九州までの山野に、中でも比較的日当た |
りのよいところによく見られます。 |
夏の頃、株の中心から高さ1mほどにも茎を伸ばして、多数の釣鐘型の花をつ |
けます。花は青紫色で、開くとめしべが伸び出して正に小さな釣鐘のように見 |
えます。 |
ツリガネニンジンの別の呼び名をトトキと言うのだそうです。たくさん自生す |
る地方ではよく知られている呼び名らしくて、広辞苑にも載っています。 |
「山でうまいはオケラにトトキ・・・」 | 道の駅で買ったトトキです |
と、歌に詠まれているほどです。 | |
昔読んだ本にも、トトキは山菜の中で | |
もとても美味しい植物であると書いて | |
あったのが記憶にあって、いつかは食べ | |
てみたいと考えていました。それで1株 | |
を手に入れて鉢植えで栽培していたの | |
ですが、1株しかない鉢植えの株を食べ | |
る勇気はありませんでした。 |
ところが先日、そのトトキを旅先でたくさん食べる機会がありました。若い |
芽を茹でてカツオブシを振りかけた簡単な調理だそうですが、それほど癖がな |
く、とっても美味しくいただきました。 |
栽培中の鉢植え、 今年は2芽になりました | ツリガネニンジンの苗は、山野草店、道の駅や |
種苗会社の通信販売で手に入れることが出来ま | |
す。だが、何時でも売られている種類のものでは | |
ありませんが、春の植え替え時期などに市場に出 | |
回ることがあります。 | |
植え替えなどは芽の出る前が良いので、3月頃 | |
になります。庭に植える場合はよく日の当たると | |
ころが良く、自生地でも田の畔や土手などに生え | |
ているのをよく見かけます。 | |
よく似た植物にソバナがあります。ツリガネニンジンは葉が3,4枚輪生する |
こと、花が釣鐘状であること。一方、ソバナは葉が対生であること、花の先が |
漏斗状に広がることで区別できます。 |
鉢植えにするには、株がまだ小さい時は5号ぐらいの駄温鉢が良く、大株に |
なれば10号ほどの大きな鉢に植え替えるように、根の大きさに合わせます。 |
培養土は特に選びませんが、いつも用いている園芸培養土や、赤玉土、鹿沼 |
土、日向土の等量混合した培養土に、堆肥か腐葉土を1割ほど加えて用いるの |
が良いでしょう。 |
鉢の置き場所はよく日の当たるところが良いのですが、真夏だけは半日陰の |
ところへ移動します。 |
灌水は、極端に過湿や乾燥状態にならないように気を付けます。 |
肥料は、株が成長する時期や、花後に緩効性化成肥料や油粕と骨粉の団子を |
与えます。 |
ツリガネニンジンは古くから薬用や食用に利用されていて、薬用には根を鎮 |
咳、去痰薬として用います。根にはサポニンを含むことから、人参の代用品と |
しても用いられたようです。 |
食用には新芽を摘んで、お浸し、胡麻和え、てんぷらなどに利用します。若 |
葉だけでなく、根も食べられるようで、煮物や胡麻和えなどにすると美味しい |
そうです。 |
(2013年6月1日) |