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栽培こよみ 第76回

 
 アロエ ユリ科
 
 あまりに天気が良いので、駅から目的地まで20分ほどの距離を歩いてみた。
郊外の住宅が立ち並んだ地域で、どこの家でも玄関脇にはいくつかの鉢植えが
置いてあった。花を見ながらしばらく行くと、いろいろな鉢植えの中にアロエ
が多いので驚いた。その数が数軒どころではない。
 
アロエ アロエの鉢植え

町で見た玄関脇に並んだアロエの鉢植え

 
 アロエはアロエ属を指す言葉であるから、正
確にはキダチアロエであるが、一般には単に
「アロエ」とか、あるいは「医者いらず」などの名で呼ばれている。戦前の本
にはロクヮイと表記されているものがあるが、ロカイもアロエのことである。
 古くから民間薬として知られていて、やけど、切り傷、擦り傷などに葉を塗
布したり、胃腸病や便秘に摩り下ろしたものを生食したりして利用されてきた。
病気にも怪我にもと、応用範囲が広いことから医者いらずの名が付いたらしい。
 
 玄関脇に置かれた鉢植えは、もちろん観葉植物として栽培しているのであろ
うが、これほどたくさんの人が栽培しているというのは、きっとイザというと
きに役立つであろうと考えて栽培されているのだと思う。そうだとしたら民間
薬に興味を持つ人が多いのは頼もしいことだ。
 
 アロエはアフリカ原産の植物であるが、日本でも暖かい地方では越冬可能で
ある。もし寒い地方で栽培するときは、春から秋の期間は戸外で栽培して、冬
の間を室内で栽培するとよい。乾燥にも強いので、畑から掘り上げた株を乾か
して、冬の間だけ納屋などに吊るして休眠させて、暖かくなると畑に植える方
法もよいと書いてある本があるから、そのようにもできるのであろう。
 
アロエの栽培
 アロエは園芸店や量販店で一年中売ら
れているから容易に手に入る。中には数
品種のアロエをセットにして、緑の救急
箱のラベルの付いたものがあった。
 
 アロエの栽培は至って簡単、鉢植えな
らば日の当たるところに置き、用土が乾
いたころに水を与えればよい。日当たり
や風通しのよいところに置けば病害虫
アロエの栽培

側枝は数日乾燥させてから挿し木をする

もほとんどないだろう。剪定などの作
業もいらないし、伸びるに任せるとよ
い。早く大きくしたい場合は緩効性化
成肥料や液肥を与える。
 それでも長年栽培していると、地際
から側枝を出してよく増える。増やす
には側枝を切り取り、切口を数日乾か
してから挿し木をする。培養土は市販
の園芸用培養土かサボテン用培養土が
よい。しかし寒い時期は避けたい。
マレーシアの路上にもアロエベラが並ぶ
 キダチアロエを食べるととても苦い
が、アロエでもベラの方は苦みが少な
い。ベラは葉が大きく、外皮を取り去
ると半透明のきれいなゼリー菓子のよ
うだ。最近、アロエは食品や化粧品に
も利用されるようになった。
 生産者の中には料理の材料として出
荷している人があるほどだ。
 海外ではキダチアロエよりもこのアロエベラの方がよく利用されている。
マレーシアの路上で売っていた薬草の中にもアロエベラが並んでいた。
 

(2014年4月1日)