| ゲッケイジュ クスノキ科 |
| 月桂樹(ゲッケイジュ)は地中海沿岸地方の原産で、クスノキ科の常緑樹である。 |
| この木の枝葉を用いて環を作って冠とし、競技の勝者に贈られることはよく知 |
| られている。わが国では庭木として植えられるが、 | ![]() | |
| 縁起の良い植物とされているから記念樹として | ||
| 植えられることが多い。 | ||
| 春、4月頃に葉腋に黄色い小花を密につける様 | ||
| はなかなか綺麗である。雌雄異株であり、日本で | ||
| 栽培されている木は殆どが雄木らしい。葉は光沢 | ||
| のある緑色で傷をつけると芳香があり、香辛料な | ||
| どに利用される。乾燥した葉を数枚袋に入れたも | ||
| のが食品店で売られているが、1株栽培して置け | ||
| ばいつでも必要な時に使えるから便利である。 | ||
| 萌芽力が強いから伸びた枝を刈りこんで卵形 | ||
| や円錐形など好みの樹形にしてもよいが、自然に | ||
| 放置しても整った姿で成長する。 |
| 栽培は粘土や砂土を除けばほとんどの土壌でよく生育する。庭に植えるには |
| よく日の当たる方が良い。また、鉢植えで栽培することもできる。 |
| 増殖は実生、株分け、取り木、あるいは挿し木ができる。実生の場合は春播 |
| きにするが、わが国で雌木が少ないから種子を手に入れることが難しい。 |
| 挿し木は適当な管理ができれば年中可能と本にあるが、普通は9月頃に今年 |
| 伸びた新芽を用いて挿し木をすればほぼ活着するようだ。 |
| 挿し木の方法は、まず適当な大きさの浅鉢に赤玉土の小粒を入れる。そして |
![]() 挿し床に赤玉土の小粒、と挿し穂 |
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| ジョロで水を撒いて湿らせておく。 |
| 一方、挿し穂を準備する。9月頃に挿し木をする場合は今年伸びた枝を用いる。 |
![]() 挿し穂を土に挿した様子 |
枝を15〜20?ほどの長さに切り取り、 |
| 1時間ほど切口を水に浸けて置く。次に | |
| 挿し穂の下部の葉を取り去り、先に残し | |
| た葉が大きな場合は半分に切り取る。 | |
| 切口に発根剤をつけてから土に挿し、5 | |
| ?ほどを土に埋める。発根剤が落ちない | |
| ように、割りばしなどで下穴をあけて挿 | |
| すとよい。 | |
| 挿し木した鉢は強い光を避けて日陰に置く。空中湿度を保つために鉢より大 |
| きな受け皿に入れて少量の水を皿に入れておくとか、あるいは透明のビニール |
| 袋を全体に被せておくのもよい。年内に発根を見るが移植は春に行う。 |
| 挿し木以外に増殖する方法に取り木ができる。取り木とは枝の途中から発根 |
| を促して苗を得る方法である。 |
| 4から5月頃、取り木する枝の一部を環状に2〜3?皮を剥き、湿らせたミ |
| ズゴケを卵状に被せてしっかり巻いて置く、その上をさらにビニールで覆い、 |
| 取れないようにひもで縛る。夏頃には発根する。ミズゴケのあいだから根が見 |
| えるようになれば十分発根しているから、親木から切り離してコケをつけたま |
| ま鉢植えにして管理する。 |
| 木にはアブラムシやロウムシがついて、スス病が発生しやすいから注意する。 |
| 葉にススが付いたように黒くなる病気で、アブラムシなどの排せつ物にスス病 |
| 菌がついて生じる。 |
| 肥料は新芽が動き出す前に、油粕や化成肥料を適量与える。 |
| ゲッケイジュは樹形が整っていて鑑賞樹としてもよく、香辛料にもなる優れ |
| ものである。 |
(2014年9月1日) |