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栽培こよみ 第82回


 キンミズヒキ バラ科

 キンミズヒキは日本の北から南まで、全国の里山や路傍に見られる雑草であ
る。一度庭に植えようものなら、特別
キンミズヒキの花
 キンミズヒキの花
な管理をしなくとも増えて増えて、き
っとその処置に困るほどである。
 わが家の庭にも植えた記憶がないの
に何時からか庭のあちこちから芽を出
して、毎年、今ごろ黄色い花を咲かせ
ている。
 雑草扱いにされているからなのか、
栽培方法などを調べてもどの本にも見
当たらないが、茶花の栽培の本には簡
単に解説されているのを見つけた。
 お茶の世界では添え花として使うことがあるらしい。
 しかし、薬草としては古くから用いられて、腹痛や下痢にはよく効くとある。
キンミズヒキについて白井光太郎は「きんみずひきは路傍に多き雑草なれども、

実は鈎状の刺が付いている
実は鈎状の刺が付いている

 キンミズヒキはあまり園芸店で売っ

ているのを見ることはないと思うが、ち

ょっと郊外に出れば野外ではよく見か

ける。むしろ山歩きで草むらを歩いてい

治痢の効は却てげんのしょうこに優るとも劣ること

は無い。現に僕の教室に居る一人は久しく腸を痛め、

先ず「現の證據」を用いたるも一時効ありしも全治

せず。きんみずひきを用いるに及んで初めて、全治

せりという証拠がある。と雑誌、薬草輸出農産に書

いている。

 そのような理由で薬草に携わっているものとして、

一度キンミズヒキを栽培してみることにしよう。

根際から新芽が出ている様子
根際から新芽が出ている様子

 
ると何時の間にやら種がズボンについて、取るのに苦労することがある。熟し
た実には鈎の付いた刺があって、動物や人にくっついて縄張りを広げるような
仕掛けになっている。

 秋に種を蒔くと翌年の春には苗ができて、株は小さいがその年に花を見るこ
とができる。もし小苗があれば鉢に移して楽しむのもよい。
 培養土は選ばないが、畑土に腐葉土か堆肥を少量加えたものか、あるいは市
販の園芸培養土でよい。野外でキンミズヒキは日当たりから林床のような日陰
地でもよく育っている。宿根草で根際から新しい芽を出して大きく成長する。
庭植えにしておくと、それこそほとんど管理がいらないだろう。
庭植えにしたキンミズヒキ
 庭植えと鉢植えにしたキンミズヒキ
鉢植えにしたキンミズヒキ

 肥料はやりすぎると大きくなって野趣に欠ける。鉢植えにするなら山野草の
ように小型に仕立ても面白い。

 薬用には全草を乾燥したものを煎服すると、腹痛、下痢に効果があるという。

(2014年10月1日)