| カキドウシ シソ科 |
| カキドウシは繁殖力が強くて四方八方へツルを伸ばしてよく成長する。カキ |
| ドウシの名の由来は、ツルが垣根を越えて隣まで伸びるほどよく成長すること |
| から付いた名だという。戦前の本にカントリソウ、別名カキドウシと書いてあ |
| るのがあった。当時から子供の疳のムシによく用いられたからで、この名は効 |
| き目から付けられたようである。 |
| 生薬名を連銭草というが、葉の形が銭、すなわち貨幣に似ていて、それが連 |
| なったように見えることから付いた名である。 |
| 最近、市場に流通する生薬のカキドウシが少なくなってきたらしい。どうも |
| 採集する人が少なくなってきたからであろう。丈夫なカキドウシとはいえ、こ |
| れからは栽培して行かねばならない薬草の一つになるかもしれない。 |
| そこでカキドウシの栽培方法知るために本を調べるのだが記載された本は少 |
| ない。古い薬草の専門書にもカキドウシの項目は中々見つからない。あまりに |
| も丈夫だから、今までは栽培にそれほど手間をかけなくても手に入れられたか |
| らであろうか。 |
![]() カキドウシの品種いろいろ |
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カキドウシは観賞用として鉢植え |
| にしたり、庭のグランドカバーによく | |
| 用いられる。 | |
| 野山で自生しているカキドウシは | |
| 葉が緑色で栽培しても面白くないと | |
| 思う人は、最近、園芸店でよくみられ | |
| る斑入りの品種を栽培するとよい。 | |
| 西洋カキドウシの名で市場に流通 |
| しているグレゴマ ヘデラケア バリエガータや他にも散り斑の品種、やや黄 |
| 色い葉の品種などが市場に流通している。どの品種も管理方法は同じでよいと |
| 思うが、斑の多い品種は緑色の野生種よりもやや日陰の方が葉はきれいに保た |
| れると思う。そうかといって一日中日陰では斑がきれいに入らないから、場所 |
| を変えて様子を見てほしい。 |
| 園芸店で買った斑入りのカキドウシの苗は3号のビニールポットに入ってい |
| た。すぐにツルが伸びて広がりそうだから、やや大きめの6号の駄温鉢へ植え |
| 替えることにした。3月とはいえまだ寒い日があるから、株が傷まないようにポ |
| ットから出した根鉢を崩さないように植える。 |
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植え替えは、いつものように鉢底 |
| ネットと大粒の鉢底石を少量入れて | |
| おき、ポットから出した苗を中央に | |
| 置いてみて位置を決める。そして周 | |
| りに培養土を加える。暖かくなれば | |
| 新芽を伸ばし始めるから液肥や緩効 | |
| 性化成肥料を少量与える。 | |
| 植え替えを終えたカキドウシの苗 | ![]() 茎から根を伸ばした様子 |
| 暖かい地方では年中緑の葉を保っ | |
| ているが、寒い地方では枯れたように | |
| 葉がなくなる。しかし、よく見ると節 | |
| のあたりに小さくなって残っている | |
| のが分かる。暖かくなるとこの葉が大 | |
| きく展開して、やがてあたり一面に覆 | |
| うほどによく繁茂する。 |
| カキドウシは伸びた茎の節あたりから地中に根を伸ばしてどんどん成長する。 |
| 春になるとこの節から薄紅色の花を咲かせる。増やすにはこの茎の2節か3節 |
| を切って植えればよい。カキドウシは種でも増やせるが、種を見つけるのはな |
| かなか難しい。 |
| 薬用には全草を花の咲く時期に刈り取り、乾燥して用いる。 |
(2015年3月1日) |