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歳時記


ハイビスカス、ムクゲ
 
大きな木にたくさんのムクゲの白い花が咲きました。
 
ムクゲは生命力の強い木で、夏から秋にかけて次から次へと花を咲かせますが、
1日花(朝咲いて夜しぼむ)であり、水揚げがむずかしいので切花には適しません。
 
中国では、ムクゲの花を「木槿花(モッキンカ)」といい、清熱し、湿を利し、
血を鎮める効果があるとされ、乾燥した花を煎じて服用します。
庭のムクゲの花が咲いたら、取ってムクゲ茶をつくって楽しみましょう。
 
また、同じ仲間にハイビスカスがありますが、真っ赤な色は血行をよくし、体を温
め、活力を与えてくれます。
 
ハイビスカスティーは、酸味のある透き通ったルビー色のお茶で、東京オリンピ
ック(昭和49年)のマラソンで優勝したアベベ選手が愛飲していました。
 
ビタミンCが豊富であり、体の疲労を消し去り、爽快な気分にしてくれます。
日焼けによるシミの予防など高い美容効果や、二日酔いによいことなどが知ら
れています。
 
飲用にするのはアオイ科のローゼル種であり、観賞用のハイビスカスではあり
ません。小さな花が咲いた後に発達する“がく”を乾燥させて飲用にするそうです。
 
ところで、梅雨は明けましたが、そのジメジメ感から水虫を連想します。
水虫といえば漢方薬では「華陀膏」と「土槿皮チンキ」が中成薬で有名ですが、
「土槿(金銭松Pseudolarixamabilis)皮」という名は、
「木槿(Hibiscus syriacus)皮」の効能に由来しているようです。
 
効能効果では、強い抗菌作用が認められていますが、それはチンキ剤のみで、
水浸液にはその作用が見られないとされています。
 
ちなみに、土槿皮は華東地方で用いられていて民間薬であるため本草書にはなく、
近年注目されている生薬です。