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歳時記


新緑の山に咲く藤の花
 
 道路脇で、濃いピンクや淡いピンク、白い色はツツジの花でした。
 
 今、新緑の山で淡紫色を呈しているのは、フジの花とキリの花です。
 
 「藤波」、「藤娘」、「桐箪笥」などが知られているように、どちらも古来、親しまれてきた植物であり、
「上がり藤」、「下がり藤」、「桐紋」などの家紋にもされています。
 
 フジは日本固有の植物であり、光を求めて他の植物に巻きつき上へ上へとのぼります。
 
 円錐形の花序を逆さにぶら下げ、基部である上方から先端に向かって咲いている様にとても趣があります。
 
 しかし、見えない蔓の部分では巻きついた方と巻きつかれた方が、お互いに太ろうとしてどんどん締めつけ合い、
結果的には、フジが他の木の幹に食い込み、その木の肥大成長に異常をきたさせています。
 
 山の上のほうに美しい淡紫色を見つけたときは、十分に風情を感じますが、その下での様子を想像すると自然界の
厳しさを知らされているようで、なんだか複雑な気持ちになります。