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歳時記


「山すその夏告げ花」
 
 夏の気配が日ごとに色濃くなると、緑の中にうす紅色のササユリがそっと咲きはじめます。
葉が笹に似ていることから、「笹ゆり」と呼ばれており、もともと日本人が「ゆり」と読んだのは、このユり
のことだそうです。万葉名は「ゆり」、「山ゆり」、「さゆり」
「野におけ山のゆり」といわれるとおりササユリは、栽培が困難な植物のひとつとされています。
 
 鱗茎(球根)は「ゆり根」として食用にされ、「百合(びゃくごう)」の名で、補益薬として滋養、強壮、
鎮咳、去痰に薬用としても利用されます。
 
 少しうつ向きかげんに咲く優雅なたたずまいと、ほんのり香る花の香りと色合いから、古く人への「贈り
もの」にされたと聞きます。
 
 先日、そのササユリを1本いただきました。
なんとも言えない色合いとその姿に、思わず感動。今までの中で1番の色、姿、顔の持ち主でした。
ユリは水揚がりもよく、比較的持ちの良い花です。しばらくは、このままの姿を楽しめそうです。