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歳時記


イチョウとギンナン
 
 朝晩冷えこむようになり、秋の深まりを感じます。街でみかけるイチョウは、葉の色が
青々とした緑から黄緑そして黄へと変わり始めています。もうしばらくすると葉はすっか
り黄色へと変わり、美しいイチョウ並木を楽しむことができます。
 
 この時期、雌株のイチョウの下には、オレンジ色の実がたくさん落ちています。このオ
レンジ色の部分は柔らかく、強い臭みがあり、触るとかぶれることがあります。この部分
を取り除くと白い硬い殻があり、さらに内側には褐色の渋皮があります。その渋皮を取り
除いたものをギンナンとして食べます。イチョウの実は、植物形態学的には種子にあたり
ます。オレンジ色の部分、白い殻そして褐色の渋皮はすべて種皮で、種子の中心部分をギ
ンナンとして食べているのです。
 
ギンナン
 ギンナンを焼くか、または煮て食べると、痰の切れをよくし、咳が楽になり、また、頻
尿や夜尿症にも効き目があると言われています。ただし、食べ過ぎると、ひきつけを起こ
したり、鼻血が出ることもあるので、注意が必要です。
 
 イチョウの葉について、李時珍は「鴨掌の形のようだ」と記しています。また『本朝食
鑑』には、イチョウの葉は「書蟲(しみ)をよく除くといわれ、新しい葉を採ってつねに
書中にはさむ」とあります。形の珍しさか、はたまた防虫効果を期待してか、時々、古い
本にイチョウの葉が挟まれているのをみかけることがあります。イチョウは「読書の秋」
とも関係が深いようです。
 


(掲載日:平成20年10月06日)