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歳時記


重陽の節句とキク

 旧暦9月9日は重陽の節句と呼ばれます。中国では陽の数字が重なることから、おめでたい日とされており、菊の花、茎、葉を米や黍とともに混ぜて醸造した菊花酒を飲んだりするならわしがあります。
 
 菊の花は、日本においてもなじみが深く、平安時代に中国から持たらされたとの記録があります。当時は観賞用というよりは、薬用として導入されたと考えられています。その後、江戸時代に入ってから改良が加えられ、多くの品種が作られました。これらの品種はその後、ヨーロッパやアメリカにも渡っています。
 
 乾燥した花に由来する生薬「菊花」は、解熱、解毒、鎮痛、消炎薬として、感冒、発熱、悪感、頭痛、目赤腫痛などに用いられます。「菊花」は、カビや虫が付きやすいことから、なるべく新しいものを使用した方が良いとされます。また現在、菊の花は、観賞用とされるほか、東北地方や新潟県などで生の花を食用としています。
 
 日本では「9」の数字は「苦」を連想することから、避けられる傾向にあります。しかし、中国では「9」の数字は陽の中でも最も大きな数字であることから、縁起が良い数字とされています。
 

(掲載日:平成21年09月01日)