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歳時記


ドングリ

 「どんぐりころころ」という童謡で有名なドングリは、その形に愛嬌があるからか、子どもだけでなく大人でも拾って手にしたくなる親しみがあります。
 
 ドングリは、ブナ科のカシ、ナラ、カシワ、クヌギなどの果実の総称で、特にクヌギの果実を指すこともあります。これらの果実は、堅い果皮で覆われ、熟しても裂開せず、また総苞とよばれる椀状の部分から離れて落ちるという特徴があります。また、ドングリがどれもほぼ同じ大きさで、比べてもどちらが大きいか判断がつきにくいことから、「どんぐりのせいくらべ」ということわざができたと言われています。この言葉は、平凡で代わり映えがしないことを表現するときに用いられます。
 
 一方、ドングリが持つ栄養価は高く、古くから飢饉の時には、渋を抜いて食用とされてきました。また、古代人もドングリを拾って食べていたと考えられています。現在でも、韓国では、ドングリのデンプンを固めて作った「トトリムック」という食品を食べています。「トトリ」とは韓国語でドングリのことを指します。「トトリムック」自体には味がないので、薬味などで味付けをして食べたりします。
 
 ドングリは、本草書には、カシワが「槲実」、クヌギが「橡実」として収載されていますが、現在では、あまり用いられません。ブナ科植物では、ウラジロガシの葉が日本の民間薬として用いられ、コナラなどの樹皮が「撲ソク」と称して生薬になります。
 

(掲載日:平成21年11月01日)