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歳時記


新茶の季節になりました

 夏も近づく八十八夜と呼ばれる「八十八夜」は、立春から数えて八十八日目のことで、今年は5月2日に当たります。例年、静岡県などお茶の産地では茶摘みの時期であり、この頃になると新茶が市場に流通します。今年は3月に入ってから暖かな日が続いたことで、桜の開花が早くなったことと同様に、お茶の生育も早くなっています。そのため、例年ではゴールデンウィーク頃に始まる新茶の流通も、今年は10日以上早まっています。
 
 最近では、お茶の葉にお湯を入れて飲む通常の方法による日本国内の消費量が減少していますが、依然としてお茶は嗜好品として世界各地で楽しまれています。日本では抹茶としての利用頻度が高まってきており、また抹茶を使用したアイスクリームやチョコレート、ケーキなども好まれています。
 
 お茶については、含有される成分や薬効などについてもかなり詳細に調べられています。お茶に含まれるカフェインには神経興奮、強心、利尿作用があり、テオフィリンには強心、利尿、気管支拡張作用が知られています。またタンニン成分も含有しており、抗酸化作用や抗菌作用などが知られています。
 
 お茶の葉に関する記載は、中国の本草書にも見られます。唐の時代の『新修本草』に初めて収載されており、味は甘く、苦く、熱を冷ます効果があることが書かれています。また小便を利し、気を下す作用を持つことが書かれています。中国の本草書の中で、お茶には小便を利すると薬効が示されていることに対して、近年の研究により明らかとなってきている、茶の葉に含有される成分であるカフェインやテオフィリンの利尿作用が一致することは興味深いことです。
 

(掲載日:平成30年5月1日)