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歳時記


今年の夏は本当に暑いです

 今年の夏は毎日暑い日が続きます。梅雨が、例年よりも1か月ほど早く明け、その後は、30℃を超える猛暑、酷暑の連続です。日々の最低気温が高く、寝苦しいことも問題です。これほど暑い日が続くと、つい水分や冷たいものを取りすぎてしまう傾向にあります。水分の取りすぎのため、食欲が減退したり、疲れやすくなったりといった、夏バテ症状になることもあります。
 
 9月に入ると少しずつ秋らしくなってきます。これからの時期は、実りの秋の恩恵を受けて、夏の間に蓄積された疲れを取り除くようにしたいものです。新米、芋類や栗、果物など、秋ならではの味覚が楽しみです。芋類としては、山芋、里芋、さつま芋、じゃがいもなどがあります。夏の陽射しをたっぷり浴びて、芋には、でんぷんなどの養分がしっかりと蓄えられています。
 
 中でも里芋は、独特のぬめりがあり、煮物や汁物にして美味しく頂くことができます。東北地方で行われる芋煮会は、秋の恒例行事で、里芋が主役の食材となります。里芋は、サトイモ科のサトイモという植物の塊茎で、種芋から殖えた子芋、孫芋を食用にします。
 
 一方、同じサトイモ科の植物に、カラスビシャクがあります。そのコルク層を除いた塊茎は生薬「半夏」として利用されます。半夏の上部は、茎の跡がくぼみとなり、その周辺には根のあとが細点となっています。これらの特徴はへそくりの語源となったとも言われています。噛んでみると、やや粘液性で、後でえぐみを持つのが特徴です。半夏は鎮嘔、鎮咳、去痰薬として知られており、水分代謝に問題が生じた場合に用いられる漢方方剤の半夏瀉心湯などに配合されています。
 
 食用になる里芋は、民間療法的に、身体の余分な水分を除くことが知られています。水分の取りすぎで、夏バテ症状となった時には、里芋を日々の食事に取り入れるのもよいかもしれません。里芋は半夏と同じサトイモ科の植物に由来するため、半夏と同様の効果が期待されるようです。
 

(掲載日:平成30年9月3日)