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歳時記


ウルシの樹液に由来する生薬「乾漆(かんしつ)」

 暑かった夏に終わりを告げ、ようやく過ごしやすい日々がやってきました。これから山々の木々は色づき始め、紅葉の季節となります。
 
 最初に色づきはじめる植物の中にウルシがあります。ウルシの樹液が皮膚に触れるとかぶれることは有名で、皮膚が弱い人は、ウルシの木の近くを通っただけでもかぶれることがあります。
 
 漆は、ウルシの木から得られる天然樹脂で、ウルシの樹皮に傷をつけて、滲出する樹液(生漆)を採取します。漆の主成分はウルシオールで、強いかぶれをおこします。この他に水分、ゴム質、含窒素物および酸化酵素ラッカーゼを含んでいます。このラッカーゼの作用によりウルシオールの重合が生じると塗膜の硬化がおきます。硬化塗膜は硬度が高く、水や酸に強い性質を持つと同時に、すぐれたたわみ性を持ち、外観も良いので、古来、漆器の製造に用いられています。
 
 ウルシの木は、漆採取のため、日本各地で植栽されています。海外から安価な漆樹脂が輸入されてはいますが、日本産の漆は品質が良く、日光東照宮など文化財の修復に使用されています。
 
 また、ウルシの樹皮に傷をつけて、滲出してきた生漆を乾燥して、固めて団塊状にしたものが、生薬「乾漆(かんしつ)」です。乾漆は『神農本草経』の上品に、「乾漆」と「生漆」の名前で収載されています。乾漆は駆瘀血薬として用いられ、大黄䗪虫丸などに配合されています。なお、乾漆は、ウルシの樹液に由来する生薬であるため、漆に弱い方や、皮膚の弱い方などは直接的にあまり触れないほうが良い生薬かもしれません。
 

(掲載日:平成30年11月5日)