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歳時記


熊胆 ユウタン

 ユウタン(熊胆:クマノイ)は、クマの胆のうを乾燥した生薬で、古来、日本では、興奮、健胃、鎮痛、鎮痙、利胆、解毒薬として、また家庭薬原料として広く使用されてきました。
 
 クマの主食は、ブナやナラなどの実ですが、戦後、これらの広葉樹の伐採が進み、クマが棲息することができる山が少なくなりました。そのため、近年、人里に現れるクマが増え、農作物の被害が後をたちません。このように、クマは、最近では厄介者扱いされていますが、人間にとって、食用、薬用という恩恵を与えてくれる、大切な動物です。
 
 胆のうの中の胆汁は、食物の消化に利用されます。そのため、クマの食料が少ない冬眠する直前の時期、あるいは冬眠明け直後に、クマの胆のうには胆汁がたくさんつまっています。クマの大切な命を一ついただくわけですから、熊胆を作るためには、この時期のクマから、胆嚢を採取するのが最も効率の良い方法といえます。秋口になると、テレビなどでしばしば柿の木などにのぼって柿の実を食べているクマの映像を見ることがありますが、このような時期に狩ったクマの熊胆は、かなり小さなものになるといいます。
 
 クマを殺した直後の胆汁は液体状のため、日本では、熊胆を作るには、クマの胆のうを、板状の穴が開いた道具で挟んで丸く成形し、じっくりと乾燥させていきます。
 
 近年、熊胆の需要は供給量を大きく上回っているため、豚胆など他の動物胆が利用されています。熊胆は、他の動物胆と比べて吸湿性が無い点が特徴で、他薬と混合して丸薬として持ち運びしやすいという利点があります。熊胆を使用することは、当然、クマの命をいただいていることに他なりません。限りある資源をこれからも末永く大事に使用させていただきたいものです。
 

(掲載日:2019年4月5日)