ネジバナ Spiranthes sinensis ラン科
 
 夏の初めのちょうど今頃、日の当たる草原や、案外都会でも芝生の中で咲い
ているのを見つけることがある。あたりを探すとあっちに一本、また一本と何
本も見つかることが多い。
ネジバナ
 ネジバナは、数枚のロゼット状に広げた葉の
中から20〜30?の花茎を伸ばし、先にたくさ
んの小花をつける。持っていた携帯のカメラで
拡大してみると、小さいながら間違いなくラン
の花型をしていた。
 ネジバナは、花が螺旋状にねじれて咲いてい
るからつけられた名で、このねじれは、つぼみが後ろ側に反るためである。こ
のねじれが左巻きか右巻きかを観察してみたらどちらもあった。花の色はピン
ク色がふつうであるが、稀に白色や濃赤色の個体が見つかる。古書、花壇地錦
抄(1696)には既に名がみられるから、かなり古い時期から栽培されていたよ
うだ。
ネジバナ
 たくさん咲いている中の一本を鉢植えにしてみた。掘
り上げると割箸ほどに肥厚した根が塊りになっている。
丈夫な植物であるから、土は生えていた土でも市販の培
養土でもよいが、ラン科植物は水はけよく植えた方が良
いから、赤玉土と鹿沼土を同量混合した土で植えてみた。
鉢の底から三分の一ほどは粒のあらい土を入れ、上側に
は細かい土で植えるとよい。
 ネジバナは、鉢植えにしても水さえ切らさなければ、
毎年、芽を出して花を咲かせてくれる。種はたくさん付く
くが、ランは種を土に蒔いてもラン菌の助けがないと発
芽しないから、株もとに蒔くか、春ランなどの鉢植えに蒔くと発芽することが
ある。


(2008年7月1日)