サツマイモ
 
 初物はなんでも高いから食べるのがもったいないと、台所に置いたサツマイ
モが何と芽を吹いてきた。サツマイモはもともと熱帯の作物だから、この夏の
暑さが気に入ったのだろう。
 そんな芋の芽を眺めているうちに、サツマイモ
サツマイモ
にアサガオを咲かせるという、戦前に発行された
古い雑誌の記事を思いだした。
 サツマイモはヒルガオ科の植物で、アサガオも
同じ仲間である。そういえば熱帯で暮らしている
ときは、サツマイモにアサガオのような花が咲い
ているのを何度も見たことがあった。
 材料は新芽の出たサツマイモと、花が咲いて
いるアサガオの鉢植え、それによく切れるナイフ
とタコ糸があればよい。
 
 接ぎ木をする要領で、サツマイモは茎の太い丈夫なところを見つけて切断する。
一方、アサガオの方も早く花が見られるように、小さな蕾がついた新芽を先から
5?ほどの長さに切り取る。そして切った茎を5?ほど両側から斜めに切り取り、
先をくさび状にする。
サツマイモ
 
 先に準備したサツマイモの茎を真上か
ら1?ほどまで半分に切れ目を入れて、
その切れ目にアサガオの茎を素早く差し
込む。そして外れないようにタコ糸で継い
だ部分をぐるぐると巻いておく。軽く紙クリ
ップでその上を挟んでおくとよい。始めの
うちはアサガオがぐったりすることがある
が、心配することはない。翌日になれば
元のように元気になっている。
 日が経つにつれ、やがてつぼみが膨らんできて花を咲かせるだろう。
 サツマイモとアサガオの合わさったものだから、ここではイモガオとでも呼んでおこうか。
昔の人は風流な遊びを知っていたものだ。
 暑い夏は玄関に打ち水をして、団扇であおぎながらこの珍植物を眺めるのは気持ちがいい。
早くだれか来ないかな。

サツマイモ
接ぎ木(拡大)

(2008年8月15日)