カラスウリ
 
 自動車道のフェンスにカラスウリの実が、たくさんぶら下がっているのを見
つけた。朱赤色をした卵大ほどの実は、走っている車からでもカラスウリの実
であることがすぐに分った。
 
 道路の中央分離帯にカラスウリを植えたとは思えないから、きっと鳥が運ん
できた種子が繁茂したのであろう。
カラスウリの実
(写真1)カラスウリの実
 そうそう、このカラスウリ、むかし芍薬を栽培し
いた畑の木に、毎年、たくさんの実がぶら下がっ
ていた風景を思い出した。その時はあまりにもたく
さんあって、作ってみようなどとは思わなかったが
車窓から赤い実を見つけて、こんな街の真中でも育
つのであれば鉢植えで作ってみることを思いついた。
 
 
 
 
種子
(写真2)種子
 カラスウリの赤い実を開くと中には打出の小槌
の形をした種子がたくさん入っている。この種子を
赤玉土に腐葉土を2〜3割加えた培養土か、市販の
園芸培養土を入れた5〜6号の大きさの鉢へ、数粒
を蒔いてみた。
発芽率は悪いが、種はたくさん入っているから、
多めに蒔いておいて、一番生育の良い株を選ぶとよい。
 
 
 
 
しかし、種子から栽培すると花が咲くまでに2〜
カラスウリの塊根
(写真3)カラスウリの塊根
3年を要するから、早く花を咲かせるには、土中に
ある塊根を手に入れたい。赤い実の付いた蔓を辿っ
て行けばきっと見つかるはずである。
 カラスウリは木に覆いかぶさるように繁茂する
から、塊根を植える時は、8〜10号の大きな鉢へ
浅く植えて、支柱を立てて蔓を誘引する。垣根に
這わせるのも面白い。鉢植えの場合には園芸肥料
を与えると花つきがよい。
 
寺田寅彦の随筆に「からすうりの花がおおかた開ききってしまうころになると、
カラスウリの花
(写真4)カラスウリの花
どこからともなく、ほとんどいっせいにたくさんの蛾が
飛んで来てこの花をせせって歩く。無線電話で召集でも
されたかと思うように一時にあちらからもこちらから
も飛んで来るのである・・・」と書いている。夏の夜に、
花びらの先が糸状に裂けた白い花に飛来するスズメガ
を観察するのも楽しみである。
 カラスウリの種子は王瓜仁、と塊根は王瓜根でどちらも
薬用に使う。


(2009年4月1日)