センリョウ センリョウ科
 
 センリョウは、古来より縁起の良い植物とされていますから、お正月の生け
花材料によく使われます。それで暮れからお正月にかけては、園芸店や花屋さ
んにたくさん出回ります。
センリョウ
センリョウの自生地は山の樹林の下
などに生えていますから、栽培適地も
半日陰になるところが最適です。
 写真はそれほど日の当たらない玄関
先に植えられたセンリョウですが、毎
年、たくさんの実をつけています。
 センリョウによく似た赤い実をつけ
る植物にマンリョウがあります。マン
リョウも縁起の良い植物とされていて、
今頃になるとたくさん市場に出回ります。
 
 センリョウとマンリョウの違いは、赤い実が枝先に集まって上向きについてい
るのがセンリョウ、小枝の下から下向きに実を付けるのがマンリョウです。実
のない時期に見分けるには、センリョウは葉が対生で、マンリョウは葉が互生
していますから容易に見分けられます。
 
センリョウの実
   センリョウの実
マンリョウの実
   マンリョウの実
 
 センリョウとマンリョウはどちらも縁起物植物なので仲間のように思われま
すが、センリョウはセンリョウ科、マンリョウはヤブコウジ科で、植物の分類
からは遠縁です。むしろ、ヒトリシズカやフタリシズカがセンリョウ科の植物
です。
 
 センリョウを入手するには園芸店に数多く出回る今頃が1番です。しかし、
植え替えなどの作業は暖かくなる3月以降が良いので、そのころまで待ちます。
もし、お正月に飾る寄せ植えなどを作るときは、根鉢を崩さないようにして植
えれば大丈夫です。そして暖かくなれば、大きな鉢へ植え替えるか、庭植えに
します。
 植える場所は日陰でもよく育ちます。日が当たる乾燥した場所では葉が日焼
けしてきれいな葉にはなりません。生産農家では年中、寒冷紗の日覆いをした
下で栽培しています。
 
 センリョウの殖やし方は株分け、挿し木、実生で増やせます。
 挿し木は、葉を2枚か4枚付けて10?ほどの長さの挿し枝を作って赤玉土や
川砂に挿します。お正月に使った生け花を使ってもよいのです。
 種を蒔くときは、熟した実をよくも
センリョウの小苗

センリョウの小苗
んで水洗いした後、小粒の赤玉土を入
れた鉢に播きます。そして日陰に置き
ます。発芽したら苗を翌年、大きな鉢
や庭へ植え替えます。
 日頃の管理はとても簡単です。セン
リョウは株元から枝を伸ばすので整枝
の必要ありませんが、枝が込み合って
きたら地際から切り取ります。強い日
光や霜に当たると葉が汚くなるので予
防します。
 
 センリョウには赤い実の他に、黄色い実をしたキミノセンリョウがあります。
赤い実も白い実も、緑の葉の上に実がついた姿は美しいものです。大都会のビ
ルの谷間の小庭にも、きれいに赤い実をつけたセンリョウがありました。
 センリョウは日本の山に自生する植物です。やや暖地の方が適していますが
寒風が当たらないように工夫すれば育ちます。
 薬用には使われませんが、古来から縁起の良い植物とされていますから、セ
ンリョウを飾って新年を迎えるのも良いものです。
 

(2013年1月1日)