栽培こよみ 第63回 ムサシアブミ とその仲間 サトイモ科
第63回
旅の途中で「山野草」と書いた大きな看板が見えたので、ちょっと店に立ち |
寄ってみた。広い園内には数列の栽培棚が並んでいて、小さな鉢植えが所狭し |
と置いてあった。 |
寒さの残る今頃はどの植物も休眠しているようで、まだ土の中で休んでいる |
のであろう。それでも中には新芽をちょっと伸ばし始めたものがあったり、オ |
ーレンなどはかわいい花を咲かせていた。 |
鉢植えのラベルを見ると薬用になるものがたくさんあって、園芸店では見ら |
れないものがたくさんあるから、薬草を集めるにはこんな店を探すのも一つの |
方法であろうと思う。 |
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鉢植えの間に、不思議な球根がたくさ | |
ん並べてあるのを見つけた。さて、これ |
は何だろうと、主人に聞いてみたらムサ |
シアブミだという。葉のない間は土から |
掘り出しておいてもよいらしい。 |
この仲間の花は異様にも思える花が |
多いから、好き嫌いがあるようで、町の |
園芸店や量販店で見ることが無いのは |
それほど売れる花ではないかららしい。 |
ところがマニアの間ではその奇異な花に魅せられて集めている人があるよう |
だ。それに花後にできる真っ赤な果実もなかなかきれいである。 |
最近、この仲間だけを集めた図鑑も出版されて、これからますます人気が出 |
てくるような気がする。この仲間にはマムシグサ、テンナンショウ、ウラシマ |
| ソウ、ユキモチソウなどがある。 |
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ムサシアブミの栽培は比較的簡単で、植 |
えつけは球根から新芽の出る前であれば |
よいから、ちょうど今頃が良い。数年前に |
ムサシアブミを植えておいた鉢があるか |
ら、今月はムサシアブミの植え替えをして |
おこう。 |
鉢をひっくり返して出してみると、1球 |
から5球にも増えていた。それで2鉢に分けて植えることにした。 |
植木鉢は今までのものと同じ5号鉢へ植える。培養土はいつも使っている培 |
養土に、今回は腐葉土を1割ほど多く加えて用いる。 |
ムサシアブミやその仲間の植物は、大きな樹林の下などあまり日の当たらな |
い日陰に自生していて、そこは落ち葉などが多く堆積している。そんな自生地 |
に近い状況にするのが良いのである。 |
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まず植木鉢へ8分ほど培養土を入れてから、中心にムサシアブミの球根を芽 |
の出る方を上にして置く。さらに培養土を加えて土の表面から2〜3?下になる |
ように植える。そして鉢の隅に緩効性化成肥料を一つまみほど置く。 |
土が乾かないようにコケを置いてある。 |
植え終えた鉢はダイオネットで遮光した栽培棚に置いているが、毎年、花を楽 |
しませてくれるし、よく増える。植え替えは2〜3年に一度でよい。 |
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この仲間であるウラシマソウやマムシグサ、テンナンショウも同じようにし |
て栽培できる。これらは薬用植物であるが有毒でもあるから栽培を楽しむのが |
良い。 |
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