サンスベリア ユリ科

 百貨店の洋服売り場の一角に、サンスべリアSansevieriaの鉢植えが置いてあった。黒い
化粧鉢に植えられただけのものであるが、とても印象に
サンスべリアの鉢植え
残っている。
 サンスベリアは明治の初めにわが国に入ってきた植
物で、当時は千歳蘭(チトセラン)と言ったそうである。
英語ではこの仲間をボウストリング・ヘムプという。ボ
ウストリングは弓の弦のことで、この葉から繊維を取っ
て弦にしたかららしい。この繊維は、とても弾力があっ
て腐りにくいために布地、敷物や綱などの原料にすると
いう。
 もう十数年も前になるが、サンスベリアが空気を浄化
させる植物として大流行したことがある。しかし、薬用
には使われない。ところが熱帯地方では薬用植物として
も知られていて、マレーシアの薬用植物図鑑である
MALAYSIAN HERBSにもS.trifasciataアツバチトセランとS.cylindricaボウチトセラン
が記載されている。サンデーマーケットで葉を数枚束ねたものが、アロエ・ベラなどと共
に薬用として売られていることがある。

 日本では観葉植物として古くから栽培されてきた。サンスベリアの仲間には斑入り種で
葉が覆輪のもの、葉が板状のものや棒状のもの、背丈が大きなものから小さなものなど、
いろいろな種類があって、栽培が比較的簡
サンスベリア
単であるから好みのものを栽培してみる
と面白い。

 栽培は簡単とはいえ熱帯産であるから
わが国では冬の温度に注意が必要になる。
暖地では戸外でも越冬するが、低温にあう
と葉が傷んだり、株が弱ってしまうことが
あるから室内に取り込む。越冬温度は10
度以上ほしいが、それ以下であれば水やりを控えて乾燥させて冬を越すようにすると枯れ
ることは無い。
 春、暖かくなって十分に水を与えると元気になってくる。やがて株元から新芽を伸ばし
始める。新芽が鉢から飛び出たり、株でいっぱいになれば株分けを兼ねて植え替える。
 もっと積極的に増やしたければ葉ざしをする。写真のように葉を10?ほどに切り、赤玉
土やミズゴケなどに挿せばよい。しかし、斑入り種でも葉の斑が抜けてしまうことがある。
葉の中心の青い部分から子ができるためらしい。きれいな斑入り種を増やしたいのであれ
ば茎の部分が入るようにして縦割にするとよいそうだが、まだ実験をしていない。
葉を10?程度に切った様子
 葉を10?程度に切り、赤玉土に挿した様子
葉を赤玉土に挿した様子  
 サンスベリアの培養土は水はけのよい土を用いる。市販の鉢植えはバークなどで植えた
ものが多い。ミズゴケで植えてみたがこれもよい。ミズゴケで植えたものは、もし植木鉢
をひっくり返した時でも培養土が鉢からこぼれ出ることがない。
 ミズゴケに植えた鉢の隅に葉を挿しておいたところ、発根して、やがて株元から新芽が
出てきた。
株元から新芽が出てきた様子

 先日、量販店で超小型のサンスベリアの鉢植

えを見つけた。買ってしばらくするうちに株元

からたくさん新芽が出てきた。

 肥料は春になって、新しい根や新芽が動

き出したころを見計らって緩効性化成肥

料を与える。

サンスベリア
 
 これだと場所を取らないし、栽培管理にもほとんど手間がかからない。

(2014年8月1日)