アシタバ セリ科

 最近、健康関連商品の広告をよく目にするようになった。園芸の世界でもラ
ベルに「健康野菜」という字の入った商品が売られている。近くのホームセン
ターにはいろんな種類の苗がセットになって、キッチンガーデンとか、和食の
ハーブなどの名で並んでいた。そして料理方法まで詳しく解説されてある。
 このように薬草の苗が手軽に手に入れることができて薬草栽培が普及するこ
とは喜ばしいことである。

 さて、今月はそんな健康野菜の中から作りやすいアシタバを栽培してみよう。
 アシタバという名の由来は、生長が速くて今日刈り取っても明日には葉が伸
びていることかららしい。実際にはそれほど生命力が強いということで、自生
地の伊豆諸島では人の背丈以上にも生育している株があるという。
 苗は園芸店で買って植えるが、もし春頃であれば種から育てることができる。
アシタバの種子は野菜苗などと一緒に園芸店に並んでいるし、通信販売でも買
えるから容易に手に入る。そして種の入った絵袋の裏には栽培方法が詳しく書
いてある。
 そこには、4月頃にポットに播種すると今頃には草丈10センチほどになり、
ちょうど畑に定植する大きさに育つ。
アシタバの苗
 アシタバの苗
種を蒔いて育てた苗
 種を蒔いて育てた苗

 種子を畑に直播してもよいが発芽率が50%と、一般の野菜類に比べると悪
いから、先にポットに蒔いて、苗が大きく育ってから畑に移すのが良い。
 定植する畑にはあらかじめ堆肥や元肥をすき込んでおく。元肥には骨粉入り
の油粕や化成肥料がよい。
 もちろん鉢植えやプランターでも栽培できる。食用に使うとなると株は大き
く丈夫に育つ方が良いから、植木鉢も10号鉢や野菜栽培用の大きなプランター
を用いる。鉢やプランターと野菜栽培用の培養土がセットになって売られてい
るが、これを使うと無駄がない。そして1株では心もとないから2,3株を植え
ておく。苗が活着すると月に1回程肥料を与える。また、アゲハやキアゲハの
幼虫が葉につきやすいから見つけたら取るようにする。
 やがて株が大きくなると新芽を取って食用にできるが、初めのうちは全部取
らないで数本残し、まず先に株が丈夫に育つようにする。
 真夏は直遮光を避け、葉がきれいに保たれるように寒冷紗で遮光するとよい。
また、寒冷紗は真冬の霜よけに使える。
苗を畑と鉢へ植えてみた
 苗を畑と鉢へ植えてみた
苗を畑と鉢へ植えてみた

暖かくなるとぐんぐん新芽を伸ばし始める
 冬が過ぎて春、暖かくなるとぐんぐん新芽を
伸ばし始めるから、若い葉や葉柄を食用にする。
 ゆでて酢の物やゴマ味噌、マヨネーズ和えで
食べるとおいしい。てんぷらやなべ物に入れて
もよい。細かく刻んで炒め物や餃子に使うとお
いしいらしい。
 戦前の本には茎葉はもちろん根茎をゆでて皮
をむいて食べるとあったから、アシタバは葉も
茎も根も全草が食用になるのである。
 日本食品成分表・五訂版によると無機質、ビ
タミン、植物繊維などを豊富に含み、間違いな
く健康野菜といえる。

(2015年7月1日)