ゴールデンウィークが過ぎた頃から、あちこちで藤の花が見られるようになりました。
遠くの山では、緑の中にほんのりと見える淡いむらさき色がなんとも言えない美しさを醸し出し、
公園や広場で連なり垂れた花の様子は、まるでむらさき色のカーテン、あるいは暖簾。
クレオパトラは舟遊びの際に紫の帆を張り、日本では古来、最高の位階に着用が許されるなど、
紫色は位の高さを示します。
この季節に軽く山に入れば、タンポポやハコベなど黄色や白の花もありますが、アケビの仲間、
キランソウ、イヌノフグリ、スミレの仲間、ムラサキケマン、カキドオシなど紫色の花が多く見られ
ます。
アケビの蔓性の茎は、生薬名「木通」で、内臓の熱をとり利尿作用を有します。
民間ではキランソウは諸病を治すことから「医者いらず」とも言われ、鎮咳、去痰、解熱、鎮痛など
に利用され、スミレの仲間は胃病、不眠、便秘などに用いられてきました。
今は草木の開花時期であり、普段は見つけにくい小さな薬草や3種類ある「木通」の原植物
(アケビ、ゴヨウアケビ、ミツバアケビ)も簡単に見分けることもできるでしょう。