柚子が橙に色づくと、各地方で年に一度の「柚餅子づくり」が始まります。

柚餅子は竹べらで中身をくりぬいたユズに、もち米を粉にしたもち粉、しょう

ゆ、砂糖やお店によって異なる秘伝の調味料を加えて中に詰め、丸ごと蒸

して自然に乾燥させることを繰り返します。添加物を一切使わずに4ヶ月ほ

どかけて一つ一つ丹念に仕上げた柚餅子には、芳醇な香りが・・・ぷーん。

柚餅子の歴史は、はるか源平のころにまで遡り、冬を迎えるための保存食

として、また武士の携帯食であったともいわれます。

そして、21日の冬至の日にはユズの実をお風呂に入れて柚子湯が焚か

れます。「冬至に柚子湯」とは、湯治で身体に融通が利きますようにと願った

ことに由来します。ユズの香りの元である精油が、新陳代謝を活発にし、血行

促進に作用し、疲労回復し、神経痛や冷え性、リュウマチを改善します。

日に日に寒さが増している今日この頃、今晩からでも「柚子湯」を試してみる

価値はありそうです。

また、ミカン類の皮に由来する生薬には、橘皮(陳皮、青皮)、仏手柑、橙皮

などがあります。これらは芳香性を有し、健胃、駆風に働き、行気薬として重要

な身近な生薬です。