初夏、車道の中央分離帯の草の中に、風になびいてキラキラと光り輝く白銀色の花穂がよく目に入ってきて,とても気になります。

この季節になると野原や荒地、海浜、樹園地、あぜ道などどこにでも見られる「チガヤの花」です。

「茅花(ツバナ)」と称されるこの花は,噛めばほんのりとした甘さがあるそうです。また,根茎は「茅根(ボウコン)」と称され、清熱止血,利水消脹に働きます.

昔から茅の旺盛な生命力は,災厄を除く神秘的な威力を持つと考えられており,酷暑の真夏をひかえて行われる「夏越の祓」では,人々は,成長した茅の葉を結んで作られる「茅の輪」をくぐって健康と厄除け・無病息災を願います。

日本では,古来なじみ深い植物ですが,アジアの熱帯地方では利用がないためか,生命力旺盛なチガヤは厄介な雑草とされています.

この時期は風に靡くチガヤの美しい花は,その存在を十分に知らせてくれます.

もうじき花が終わりふわふわの毛になってしまいます. 花の甘さを味わうのは今しかありません.