アメシストの名称はギリシア語の"amethystos"を語源とし、"酔わない"という意味を持っています。そのため身につけていると悪酔いを防ぐと信じられています。またアメシストには、「心の平和」や「誠実」という意味もあります。

アメシストは漢方医学における「紫石英」の基源鉱物のひとつとしても知られています。「紫石英」は、鎮静、鎮咳、止渇、強壮薬として精神不安、驚悸不眠、老人の喘嗽などの症状に応用されます。しかしながら古来、「紫石英」の基源鉱物には混乱が認められ、2005年版の中華人民共和国薬典に収載される「紫石英」の基源鉱物は蛍石(Fluorite)です。

モースの硬度計によれば、アメシストは7度、蛍石は4度であり、アメシストの方が硬いことから区別がつきます。また蛍石は、火中に投じると蛍光を放つことからも区別ができます。両者は共に紫色を呈しており、一見すると区別は難しいことから、長い歴史の中で混乱が生じたものと思われます。