潅仏会には「甘茶」が付き物です。甘茶で作ったお茶を参拝者に振る舞ったり、お釈迦様の像に注いだりします。このように甘茶を用いる習慣は江戸時代頃から広まったとされています。
甘茶はユキノシタ科のアマチャの葉を乾燥したもので、生薬として日本薬局方にも収載されています。甘茶はその名前が示すように味が甘く、甘味成分としてフィロズルチンが知られています。新鮮な葉では配糖体として含有されていることから甘さは全く感じられませんが、葉を摘んだ後しばらく乾燥し、半乾きのとき手でよくもむと発酵が進み、加水分解されて甘味が生じます。
甘茶の甘味はとても強いことから、糖尿病や肥満症の場合に、砂糖の代わりに用いられます。この他に錠剤の糖衣や醤油の風味づけに使用されることもあります。なお、ウリ科のアマチャヅルは甘茶と間違えられることがありますが全くの別物です。