七十二候の一つである「半夏生」は夏至から数えて11日目のことで、太陽暦では7月2日ごろに当たります。農家にとっては作物の植え付けや種まきの目安として大事な日であり、様々な風習が知られています。小麦の団子やまんじゅうをお供えする地方や、また稲の根が蛸の足のように広がるようにとの願いを込めて、蛸を食べる地方などがあります。

半夏生は、生薬「半夏」の原植物であるカラスビシャクが生える頃であることから、この名が付いたという説があります。カラスビシャクは畑や田のあぜ道などに生える植物で、苞がひしゃくのような形をしていて目立つので、季節の変化を知らせる植物と認識されたのかもしれません。

カラスビシャク(写真:カラスビシャク)

カラスビシャクは、繁殖力が旺盛で、いったん生えると、塊茎が地下深くにあるため駆除することは困難です。一方で、この塊茎は生薬「半夏」になり、形はへそまたは栗の様な形をしています。以前は、農家の妊婦さんやご老人が畑作業の合間に、丹念に掘り起こして貯めて、それを売ってお金を稼いでいました。このことが「へそくりを貯める」の語源と言われています。カラスビシャクは農家にとって、厄介でもあり、大切でもある植物なのです。

ハンゲショウ(写真:ハンゲショウ)

また、半夏生の頃には、ハンゲショウという植物が見られます。これはドクダミ科に属する植物で、低湿地に群生します。上部の葉の表面が白くなるため、「半化粧」、「片白草」などの別名もあります。ドクダミのように有名ではありませんが、民間薬として、むくみ、便秘の解消などに用いることがあります。