3月3日は桃の節句です。各地でモモの花を飾ったり、魔除けとしてモモのお酒を飲んだりする風習があります。モモの花を浮かせたお酒には、毒を下し、病を払う力があると言われています。

モモは、中国各地で古代から栽培が行なわれ、日本へも古い時代に渡来しました。最近、奈良県桜井市の纒向(まきむく)遺跡で、2千個以上のモモの種が出土しています。このモモの種は、木製の剣や、故意に割られた土器片、漆塗りの弓、獣骨などと共に出土していることから、祭祀に関連したものであると考えられています。このことからも、古来、モモには強い生命力とともに邪悪なものを寄せ付けない作用があると信じられていたことが伺えます。

モモは、果実が食用に、花が観賞用になることから多数の園芸品種が生み出されてきました。果実用としては、多汁で甘く、肉質が柔らかい白肉品種が多く栽培されています。産地としては、山梨、福島、長野、山形、岡山県などが有名です。主として生食とされる他に、シロップで漬けた缶詰やジュース、ジャムなどに幅広く利用されています。

観賞用品種は一般に「ハナモモ」と呼ばれ、花の色や花弁の形などが異なる数多くの品種が育成されています。一般的にハナモモは果実のできるものが少なく、できても成熟する時期が遅いため、小さくて食用には適さないとされています。

このようにモモには多くの品種がありますが、「桃仁」を採取するには、野生種に近いものがよいとされています。