5月5日は端午の節句です。この節句に欠かすことができない植物がショウブです。ショウブには邪気を払う力があると信じられていることから、古来、節句の日に、ショウブを家の軒にさしたり、ショウブ湯につかったりする風習があります。

ショウブ Acorus calamus はショウブ科(以前は、サトイモ科)の植物で、葉や根茎に強い芳香があります。また、葉の形は、剣のようで、扁平で細長く先端は尖っています。この葉の香りや形が、邪気を遠ざけるという発想に結び付いているものと思われます。根茎は芳香性健胃薬になります。漢方処方では、同属植物であるセキショウ Acorus gramineusを主に用います。

一方、最近では「ショウブ」というと、ハナショウブの方がよく知られています。これはアヤメ科の植物で、美しく、大きな花が咲き、多くの園芸品種があります。同じ仲間に、アヤメ、カキツバタがあり、こちらも花を愛でる植物です。ショウブ科のショウブの花は、地味な黄緑色の短い花穂がみられるだけです。また、ショウブ科のショウブは古くは、「アヤメ」と呼ばれていたこともあります。異なる植物に同じような名前が付けられたのは、葉の形が剣状で互いによく似ているからかもしれません。なお、アヤメ科の植物の葉には、芳香はないため、ショウブ湯として使うことはありません。

ショウブは葉の香りがよく、アヤメの類は花の色や形が美しく、両者ともに、この季節を代表する植物です。端午の節句には、ショウブの香りを楽しみたいものです。また、アヤメの類は、5月から6月にかけて花の見ごろを迎えます。花を愛でに、近くの菖蒲園に出かけてみるのもよいかもしれません。