八百屋の店頭やスーパーなどで、露地栽培で作られた青々としたキュウリを見かける季節となりました。最近では栽培方法の発達とともに、お店の商品として1年中見ることができますが、キュウリの本来の季節といえば夏になります。

キュウリは、ウリ科の一年生つる草で、インドのヒマラヤ山麓が原産地であるとされています。現在では、日本でもなじみが深い野菜の一つですが、古くは西域(胡)からもたらされた瓜で、このことから「胡瓜(キュウリ)」と呼ばれるようになったと言われています。また、熟すると黄色に変化することから、「黄瓜」と書くこともあります。

キュウリは未熟なものには遊離アミノ酸が豊富にあるため、独特のうまみが知られています。そのため、サラダやサンドイッチ、キュウリもみやつけものなど幅広い料理に使用されています。キュウリに含まれる苦味物質はククルビタシンCであり、低温や水分不足、窒素過多等の時に生成することがあります。最近栽培されている品種ではでククルビタシンCの含量が少ない傾向にあります。

人見必大著の『本朝食鑑』では、キュウリは「気味は、甘寒で小毒あり。多食してはならない」と記される一方、「熱をさまし、渇を止め、身体の水を利する効果がある」とも記されています。

今年の夏は、日本全体で節電が叫ばれています。キュウリなどの食品を食べて身体の中の熱を下げ、暑さを和らげることも有効な対策の一つになると考えられます。