春にしか味わえないものに新鮮な山菜があります。先日,タラの芽,ゼンマイ,フキノトウなど良く知られた山菜と並んで「ウコギ」が売られているのを見かけました。ウコギの新芽を茹でて,刻んで,ご飯に混ぜ込んだものが「ウコギ飯」です。ウコギ飯は,江戸時代には春の御馳走として親しまれていたようで,俳句では,春の季語に用いられるほどです。

山形県の米沢地方では,ウコギは食用を兼ねた垣根として,古くから人家の周りに植えられており,現在でもウコギの垣根が見られます。ウコギの茎には鋭い刺があることから,戦国時代には,敵の侵入を防ぐ目的で垣根として盛んに植えられていたようです。米沢では上杉家家老として有名な直江兼続の時代に,ウコギの栽培が始まり,後の藩主上杉鷹山が奨励したことから,ウコギの垣根が今でも続いているとされます。

ウコギというのは総称で,米沢地方で垣根にされているのはヒメウコギです。ヒメウコギは中国原産の植物で,雌雄異株ですが,日本で見られるのは主に雌株です。葉が柔らかく食用に適しており,5,6月に小さい淡黄色の花をつけます。その他,日本に自生するウコギの仲間には,ヤマウコギ,エゾウコギなど数種があります。

ウコギの根の皮は生薬「五加皮」と称し,強壮,鎮痛,利水薬として,リウマチ,足腰の疲労や痛み,脚気,むくみなどに用いられます。酒に浸して服用すると効果はさらによいとされ,「五加皮酒」として飲用します。葉にも強精,強壮の効があり,ウコギ飯として食すことには,そのような効果を期待する意味もあると思われます。

また,エゾウコギの根茎は生薬「刺五加」と称し,現行の日本薬局方に収載されています。