煮て良し、焼いて良し、揚げて良し、また漬物にしても美味しい夏の食材にナスがあります。古くから野菜として栽培されてきたことから、品種がとても豊富です。食用部位である果実は、卵形から長楕円形まで様々な形のものがあり、また色も紫黒、紅紫、紫、白などがあります。日本各地では、150以上もの地方品種が生みだされ、京都の賀茂ナスなどが知られています。

ナスが食卓によくのぼる人気な野菜であるためか、ナスにまつわる言葉は次のようにいろいろなものがあります。

「秋ナスは嫁に食わすな」は、秋ナスが美味しいので嫁に食べさせたくないというお姑さんの気持ちを表す言葉であるとも、秋ナスが体を冷やす食べ物であり、また皮が固くて消化に悪いことから、お嫁さんの身体を気づかっている内容の言葉であるともいわれています。

「親の意見とナスビの花は千に一つも仇はない」という言葉は、ナスの花は結実率が高いことから、親の意見は、ナスの花と同様に無駄がなく、いつか本人の身になるものであるということを表しています。

また、正月の初夢に出てくると縁起が良いものとされる「一富士、二鷹、三ナスビ」にも、ナスが含まれています。

ナスと同じナス科に属する植物で、私たちの身近に存在するものには、トマト、ジャガイモやピーマンなどがあります。この他ナス科植物には、ハシリドコロ、タバコ、チョウセンアサガオなどもあり、これらは毒性を有することで知られていますが、一方で、薬用としても重要な植物です。ナス科の植物には、食用や薬用として人間の生活に関わりが深いものが多くみられます。