ザクロはザクロ科の落葉小高木で、原産地はイランやアフガニスタン,パキスタン、インド北西部などの地域とされています。日本には、ブドウと同様に西域から中国を経て伝来したとされ、平安時代にはすでに伝わっていたと考えられています。

ザクロの根の皮は石榴根皮という生薬で、条虫駆除薬として使用され、有効成分として揮発性アルカロイドのペレチエリンが知られています。また果実の皮を石榴果皮といい、止瀉薬や駆虫剤として細菌性の下痢や血便、回虫や蟯虫駆除に用いられます。このほか、歯痛には果皮をかむと良いとされ、また、ザクロの木の下で子供を遊ばせると疳の虫を封じるという風習が残っている地域もあります。一般的にザクロで食用とされるのは外種皮と呼ばれる部分で、甘酸っぱく独特の風味を持ち、生食したりジュースにしたりします。

ザクロに対する考え方は地域で異なっています。ザクロを吉木として考える地域では、家に植えておくとその家が栄え、子宝に恵まれるといわれています。一方で、花や果実が赤いためか、仏壇に供えるのを嫌う地域や、病人が絶えない、凶事があるなどといって忌む地域も多くみられます。

子授けや安産の神として信仰される鬼子母神はザクロを手に持っています。これは、昔、鬼子母神が他人の子を取って食べていたため、仏様がそれを悔い改めさせようと、鬼子母神の最愛の末子を隠したという伝説にちなんでいます。そのため人肉の味がするというザクロを奉納するようになったとされています。