寒い冬には温かい鍋料理が食べたいものです。どのような鍋料理にも必ず入れる野菜といえば、ネギではないでしょうか。他にも、味噌汁に入れたり、うどんやそばの薬味としたり、炒め物に入れて味のアクセントにしたりと、野菜を食べる機会が減ってきているといわれる現代においても、日本人には、馴染みが深い野菜です。

ネギには、栽培方法や品種の違いにより、いろいろなものがあります。白く太い部分を食用とする根深ネギと、細く緑色の部分が多い葉ネギに分けることができ、根深ネギは長ネギとも呼ばれます。ネギの白い部分は茎のように見えますが、本当は葉の一部、葉鞘であり、緑色の部分は、葉身です。春に畑でみかけるネギ坊主を支えているのが茎で、野菜として販売されているネギでは、茎はまだ生長しておらず、短いままです。

ネギの白い葉鞘は「葱白(そうはく)」という生薬になり、『名医別録』には「傷寒、骨肉痛、喉痛不通をつかさどり、胎を安んじ、目に帰し、肝の邪気を除き、中を安んじ、五臓を利し、目晴を益す」と記されています。『傷寒論』出典の白通湯、白通加猪胆汁湯に配合されます。

日本では、民間薬としてネギを使用することがよく知られ、風邪、不眠、下痢、食中毒などに、葱白の煎じ液を服用する、のどの痛み、鼻づまり、切傷などに、生のネギを裂いて、粘り気がある内側で湿布するなどの方法があります。子供のころ、風邪をひくと、刻んだ白いネギと味噌を合わせて熱い湯で溶いた汁を飲ませてもらいました。大量の汗が出て、あくる日には、かなり回復していたことが、懐かしく思い出されます。