あけましておめでとうございます。

本年は甲午の年で、干支を表す動物にはウマがあてられています。ウマは、体格に恵まれ、力があり、走ることが速く、一方で、知能が高く、記憶力に優れた動物とされます。人間は、このようなウマを古くから家畜化し、乗用、運搬用、農耕用などとして大切にしてきました。

ウマに由来する生薬に、「馬宝石(ばほうせき)」という美しい名前のものがあります。これは、実は、馬の胃腸内にできた結石で、驚癇、清熱、解毒などに応用するとされます。ウマの体内から出てきた結石に、「馬の宝の石」と名付けて大切にした人々に、ウマに対する深い愛情を感じます。台湾の生薬店で見かけた馬宝石は、白く光沢があり、握りこぶし大の球形をした石のようで、木製の台座に乗せられ装飾品のように設えてありました。

また、「馬」の字がつけられている生薬として、「馬歯莧(ばしけん)」があげられます。これはスベリヒユの全草を乾燥したもので、清熱、消炎、解毒に応用されます。李時珍は「葉は馬の歯のように並んでいて、莧に似ているから名づけた」としています。スベリヒユは、日当たりのよい、畑や道端にみられる植物で、地面を這うように広がり、葉や茎は食用にもされます。

また、馬尾当帰、馬蹄大黄のように、生薬の形状を表す時に、ウマが形容に使われることもあります。馬尾当帰は、馬の尾のような形状に整えられたもので、良品の「当帰」とされます。他にもウマにまつわる生薬、植物は多数あり、ウマが、人間と長い間深く関わり合ってきた動物であることがよくわかります。