「せんぶり」は日本の代表的な民間薬であり、味が苦いことでよく知られています。薬として用いるのは、同じ名前の植物であるセンブリの開花期の全草を乾燥したものです。センブリの花は秋に開き、強烈な苦みを秘めているとは思えないような、小さくて白い可憐な花を咲かせます。

センブリは二年生の草本植物で、発芽した年は、小さな数枚の根生葉が輪状に地面に張り付くように広がるだけですが、二年目になるとようやく茎を伸ばし、高さ20〜30センチほどに成長します。茎につく葉は、根生葉とは異なり、先端がとがった細長い線形をしています。花は、上から全体を見ると小さな星のような形をしており、裂片は白色で紫色の線があり、5枚で細長く先がとがっています。

また、センブリという名前は、お湯の中で1000回振り出してもまだ苦いことから付けられたともいわれます。強烈な苦みは、センブリに含まれる苦味配糖体に由来するもので、その中のひとつであるスウェルチアマリンの含有量は、開きかけの花で最も高く、ついで葉、茎の順であることが判明しています。センブリは、苦味健胃薬として、消化不良、食欲不振などに用いられ、苦さという点では、花が満開になる直前に採集したものが適しているようです。

センブリは、日本全土の日当たりがよい草地に自生します。しかし、近年では様々な理由で自生地は減少し、センブリを見かけることは少なくなっています。現在、生薬としては、日本国内の栽培品が用いられています。秋には、センブリと同じリンドウ科のリンドウも美しい花を咲かせます。野山や植物園に秋の植物を探しに出かけてみようと思います。