ロウバイは、ウメ、スイセン、サザンカとともに「雪中四友」と呼ばれ、画や詩の題材とされてきました。寒くて花が少ない時期に、葉が開く前の枝に咲くロウバイの黄色い花は、小さな明かりが灯ったようで、私たちの心を和ませてくれるものです。花からは芳しい甘い香りが漂い、春の訪れを予感させてくれます。

ロウバイは漢名を「蠟梅」といい、『本草綱目』では「本来は梅の類ではない。その梅と時を同じくし、香りもまた相近く、色が蜜蠟に似ているところからこの名で呼ばれた」と記されています。また臘月(旧暦12月)に花を開き、香りが梅に似ているからこの名があるともされます。ウメも、まだ寒い時期に、葉が開くより前に、枝に花を咲かせ、芳香を漂わせる樹木のため、確かにロウバイと似ている部分もありますが、ウメはバラ科、ロウバイはロウバイ科の植物で植物学的には異なる仲間です。一方、ロウバイの英名はwinter sweet といいます。寒い冬に、芳しい甘い香りの花を咲かせることが、欧米の人々にも好まれたのかもしれません。

ロウバイの花のつぼみを乾燥したものを中国医学では生薬「蠟梅花」とします。蝋梅花は解熱、鎮咳、鎮静薬として、暑熱、心煩などに応用します。また果実は特徴的な長卵形をしており、樹上で乾燥したものはあたかもミノムシのようにも見えます。その中に楕円形の黒い種子がありますが、有毒ですので注意が必要です。

関東地方では埼玉県秩父郡長瀞町の宝登山の蠟梅園がよく知られており、例年2月下旬頃まで、ロウバイの黄色い花と甘い香りを楽しむことができます。

蠟梅や雪うち透かす枝のたけ 芥川龍之介

寒い冬の最中、枝を勢いよく四方に広げるロウバイの様子が表現されているように思われます。