「きれいな花にはとげがある」という言葉から連想される花といえば、バラではないでしょうか。バラは、バラ科バラ属に含まれる植物の総称で、枝に鋭い刺を持っています。主に北半球の温帯を中心とした世界各地に分布し、約2,000種も存在すると言われます。花の色は赤、黄、ピンク色など実に様々です。バラ科の他の植物についても、ウメやサクラ、アンズなど春に咲くものが多く、また人々に愛されています。

バラは美しい花を開くと同時に、香りが高いものが多く、古くから香料や、薬用として使用されてきました。江戸時代以前の日本には、ごくわずかの種類しかなく、主として日本や中国原産のバラが栽培されていました。日本のバラの野生種には、ノイバラがあり、成熟果実が「営実」の名称で、瀉下薬や利尿薬として用いられます。江戸時代の末から明治にかけては、西洋のバラが輸入されるようになり、その後は、西洋のバラを中心として、湿度の高い日本の気候風土に適した多くの品種が生まれています。

バラの香りを利用して、ローズオイルや香水、ポプリなどの様々なものが作られます。香りの成分として、精油成分のゲラニオール、シトロネロールなどが知られています。バラの香りは深い眠りを誘うことから、クレオパトラも使用していたそうです。一般にこれらの化合物を調合したものに、更に天然のバラから取った精油を加えると、より香りが良くなるといわれています。

様々な色の花を持つバラですが、青色のバラは自然界には存在しません。これはバラがもともと青色の色素を持っていなかったことによります。そのため昔から青色のバラを作成しようと多くの人がチャレンジしましたが、作ることはできませんでした。そのため長年、欧米では「青色のバラ」とは、「不可能」という言葉を意味するものでした。近年、日本のある会社が遺伝子組み換えを行なって、青いバラを作るのに成功しました。そのため現在では「不可能」という意味を持たなくなりました。