早春に花を咲かせたウメは5~6月頃に果実をつけます。ウメの実はそのままでは食すことができないことから、様々な加工方法が考えられてきました。収穫したウメの実を使って、梅干しや梅酒を作ることを「梅仕事」ともいいます。梅仕事は、現代においても続けられている大切な季節の手仕事の一つです。

梅干しは、完熟したウメの実で作るとふっくらとしたものができあがるといいます。まずウメの実をきれいに洗い、塩をまぶし、容器につめて塩漬けにします。上から重石を乗せておくと、梅酢があがってくるので、このまましばらく保存し、夏の土用の頃に、3日間ほど天日干しをして仕上げます。子供の頃、夏の暑い日に、ウメの実をざるの上に並べて干す手伝いをしたことを思い出します。

また、梅干しを作る際にアカジソを加えると、赤く色づいてほんのりシソの香りがする梅干しになります。アカジソを塩で揉んで灰汁を出してから、ウメをつけたときにできた梅酢を加えると、アカジソの色が、最初は赤黒色であったものが変化して赤紫色に発色します。このアカジソをウメの実と一緒に漬けると、赤い梅干しが色よく仕上がります。

ウメの実に由来する生薬に烏梅があります。烏梅はウメの実を燻製または蒸してさらして製します。生薬として、烏梅円、杏蘇散、椒梅湯などの処方に配合して用いられます。中国では、烏梅、山査子などで作った「酸梅湯」が、夏バテ予防の飲み物として人気があります。また、日本では、烏梅は、染色品の伝統的な紅染めに欠くことができない媒染剤でもあります。奈良県での伝統的な烏梅製造は、国指定文化財として大切に守り続けられています。