日中の日差しが強くなり、毎日少しずつ暑くなってきました。まもなく訪れる梅雨が明けると、暑い夏の到来を実感することと思います。中国医学の古典である『黄帝内経素問』には、この暑さを乗り切って、秋を迎えるための養生法が説かれています。夏の過ごし方について、『柴崎保三著、鍼灸医学大系①「黄帝内経素問 序説・本編一~第四」より抜粋して紹介します。

『黄帝内経素問』の「四氣調神大論篇第二」には、夏の養生法について次のように記されています。「夏の三カ月を蕃秀という。天地の気は交わり、万物は華が咲き実る。夜に臥して早く起き、太陽を避けるようなことをしてはいけない。志が怒るようにしてはいけない。華を十分に開かせ、気を四方に発散させる。愛するところが外にあるようにする。之が夏の気に応じ、長を養う道である。之に逆らえば、心を傷つけ、秋に痎瘧となる。収を奉じる者は少ない。冬になって重病になる。」と説かれています。

この部分の解説は次のようです。「夏は陽気の最も盛んな時期であって、天地間での万物は悉く成長繁茂する。そのため夏の三ヶ月は蕃秀と呼ばれる。この時期においては、陰気は上昇し、陽気は下降して、ここに天地の気は交流し、万物は花を開き、実を結ぶ。この時期における人の養生法は、日が暮れて夜になったらなるべく早く寝て、朝は暗いうちに起きる。太陽を嫌うことなく日光に浴し、日陰にのみ入って、ただ涼を求め、暑さを避けるというような行動に終始することのないようにしなければならない。」という内容です。

『黄帝内経素問』が書かれたころの夏も暑かったことでしょうが、その内容は「暑さを避ける行動に終始してはいけない」などと記されていました。現代人の私たちも、エアコンのよく効いた涼しいところで過ごすばかりでなく、屋外に出て夏を体感することも大切かもしれません。一方で、日本の夏は、地球温暖化の影響もあり、年々暑くなっているように感じます。熱中症にならないように、こまめに水分補給をしたり、日差しが強い日中の外出を控えたりして、休息を十分に取り、体力を保持することも重要と思われます。