長く続いた今年の梅雨の時期もようやく終わり、暑い夏がやってきました。長かった梅雨のため、例年に比べて日照時間が短かったそうです。そのためキュウリなどはまっすぐな形にならず、曲がった形状のものが多く、またモモでは全体が赤く色づくことがなく、色がまばらになるそうです。しかし、キュウリも桃も、味は例年と変わらずに美味しいようです。

これからの時期、スイカ、キュウリ、ニガウリ(ゴーヤ)などのウリ科の植物に属する夏野菜が多く出回ります。ウリ科の夏野菜は一般に身体を冷やす作用があるとされ、人間の身体の中の余分な水分を体外に排泄することにより体温を下げると言われています。

中でもスイカは、夏の風物詩です。しかし、近年消費量は減少してきているといいます。核家族化が進行して、一世帯当たりの人数が減少してきていることや、冷蔵庫に入りにくいこと、また黒い種を出すのが面倒であることなどの事情があるようです。また、現代では、アイスクリームやかき氷、冷たいジュースなどの飲み物など、ひと昔に比べて数多くの冷たいものが、身の回りに存在しているのも事実です。

以前、私が真夏の暑い時期に、生薬の調査で中国四川省を訪れた際に、現地の人達はペットボトルに入った冷たい水があるにも関わらず、「シーグワ(中国語で西瓜(スイカ)のこと)、シーグワ」と言って、皆冷やしたスイカにかぶりついていました。ジュースやアイスは一時的に身体を冷やしてくれますが、長時間にわたり身体を冷やしてくれるのは、スイカの方が良いのではないかと思われます。