新型コロナウイルスによる感染拡大は、第2波を迎えたといわれていますが、未だ終息の兆しは認められないでいます。このウイルスに対する新たなワクチンの開発が世界中の製薬会社で行われていますが、まだ時間がかかるようです。このウイルスの世界的な拡がりは、人々の心を不安にするだけでなく、経済的にも大きな問題となってきています。

さて、和漢薬の中で最も有名な生薬の一つには、「朝鮮人参」があります。朝鮮人参は別名、高麗人参や御種人参などと呼ばれていますが、すべてウコギ科のオタネニンジンPanax ginseng C. A. Meyerの根に由来している点で共通しています。この植物は日本国内では自生していませんが、現在では長野県、島根県、福島県などで栽培が行われています。

一方、朝鮮半島では広く野生品が採れていましたが、採取量の増加とともに山中に自生する量が減少し、14世紀末頃には既に栽培化がはじまっていたようです。現在、韓国における朝鮮人参の栽培地として有名な場所は、韓国中西部よりやや南に位置する忠清南道(チュンチョンナムド)の、錦山(クムサン)郡で、韓国有数の産地として知られています。

韓国では、シンマニと呼ばれる朝鮮人参の野生品を探す人達も知られています。韓国国内では朝鮮人参の野生品を山参(サンサム)と呼んでいます。しかし現在、山参を探すのは非常に困難となっています。